言葉とイメージ
子供のころ見ていたテレビの番組で野生の
動物たちを題材にしたものがありました。そ
こではよく『弱肉強食』という言葉をよく耳
にしました。強いものが弱いものを捕食する
ことを表現していたようです。子供心に
「サバンナではライオンが一番強いんだ。」
と思っていました。
ところが最近は、大型の草食動物も自衛す
る場面を見ることもあり、さらに、ライオン
も命を全うすれば土にかえり、植物の栄養と
なり、草食動物の命の糧になる『食物連鎖』と
いった言葉を聞くようになり、『弱肉強食』と
はまったく違ったイメージを持つようになり
ました。
ある場面を見せられて、言葉でさらにイメ
ージを強調されると、ついそれにのっかって
しまうんだと思いました。さらにいまはこの
『食物連鎖』も『持続可能な社会』みたいな言葉
に置き換わってきているような気もします。
『弱肉強食』で育ってきたものですから、違
和感があります。でもよい意識変革だと思い
ます。ちょうど『弱肉強食』という言葉が横行
していた時代に、『火の鳥』という手塚治虫の
漫画を読み、『循環する命』みたいなことを感
じたことを思い出しました。『持続可能な世
界』も『循環型世界』ともいわれるように、
循環するイメージがあります。当時からその
イメージがすでに有ったんだと思い驚きます。
『弱肉強食』といわれても『食物連鎖』といわ
れても、野生動物の生き方は変わっているよ
うに見えません。しかし、私の見方が変わり
ました。言葉の持つイメージが私の見方を変
えたのだと思います。
すぐに言葉に左右される自分を本当に馬鹿
だと思います。そんな風に言葉にイメージを
左右されながらも、与えられるイメージを鵜
呑みにすることなく、物事を見据えていこう
と思います。