カテゴリー: 息抜き

  • 命日

       命日

     父の命日が近づいてきました。お坊さんを

    呼んだ葬儀をせず、お別れ程度の簡易なもの

    で済ませたので、お坊さんを呼んだりはしま

    せん。また、墓を作らず、海洋散骨をしたの

    で、墓参りはしません。その替わり海洋散骨

    したあたりの海が見える場所を訪れようかと

    思っています。何もしないからといって罪に

    問われることはないのですが、周りの情報に

    私の感覚は影響を受けているようです。その

    情報から外れた行為に気持ち悪いものを感じ

    てしまいます。そんな感情しか抱けない自分

    をとても薄情な人間に想います。これから先

    命日が訪れるたびに、この思いを抱き続ける

    ことになるのでしょう。そのことにさえ特に

    強い感情を抱けません。これが私なのでしょ

    う。父を憎んでいたわけではありません。感

    謝しているかといったらそれも違います。こ

    の漠然とした感情は何なのでしょう。思い出

    すことといえばいい思い出はありません。で

    も、父の愛情を感じなかったわけではありま

    せん。むしろ強い愛情で育てられたと思いま

    す。成人して家を出るまでは父を嫌っていた

    かもしれません。自分の子を持ち、同時期に

    私は大病を患い、父への見方が変わったと思

    います。大病といっても、目立った後遺症は

    ありませんでした。しかし、それまでのよう

    には体や頭を使うことはできなくなりました。

    仕事では、出世といわれるものからは完全に

    外れましたが、家族を養うには事足りていま

    した。

     父は、私が小学校低学年だったころ交通事

    故に合いました。その影響で、私が中学にな

    るまで、入退院を繰り返していました。生活

    保護も受けていました。そんな状況に父は焦

    燥感を感じて、いらだっていたように思いま

    す。時々どうしようもなく荒れてました。今

    思えば、それは私たちへの愛情から来るもの

    だった思います。

     そんな父を思いながら、実家に帰って命日

    を過ごそうかと思います。

  • カッターレース

       カッターレース

     先日、息子のパートナーがこのレースの関

    係者ということもあり、見に行きました。息

    子も学生時代カッター部に所属しており、一

    度だけレースを見に行ったことがあります。

     息子曰く、カッターとは船に搭載される救

    命艇の一種らしいです。船に関心がなかった

    のでピンと来ませんでした。カッターレース

    はその船にクルー6人、艇長1人、艇指揮1

    人、計8人が乗り込んで競争します。クルー

    の方がオールを持ちます。

     救命艇というだけあって、船は8人乗って

    も余裕があります。カヌーのようなスピード

    感はあまりありません。でも、乗員が一丸と

    なって、艇を進める姿は見ていて気持ちいい

    です。特に艇指揮の方の掛け声と、クルーの

    方の息があった姿は素敵です。6本のオール

    がそろってのびやかに艇を進める光景は見あ

    きませんでした。

  • 立夏

       立夏

     二十四節気では5月5日から5月19日あ

    たりを「立夏」と呼ぶようです。今まで知りま

    せんでした。この時期、ケヤキや桜の葉が茂

    りだし、

    「草萌えるっていうのかな。」

    なんて暢気に思っていました。気になってネ

    ットを調べると「草萌える」の「萌える」は

    草の芽が生え出ることをいうそうで、初春の

    季語らしいです。勝手に思い込んでいて、

    とても恥ずかしい気分でした。そもそも、木

    の葉は草ではありませんでした。

     それにしても立夏の時期は、日差しは暖か

    く、そして風は爽やかで、外でサックスを吹

    くのに最適です。木々の緑もまだ柔らかい色

    で、見ていてとても癒されます。薔薇の花も

    咲き誇りいい香りを漂わせます。いつも通る

    道なのに、木に今まで気が付かなかった白い

    花が咲いていました。名札がついていたので、

    覗き込んでみたら「エゴノキ」と書かれてい

    ました。可愛らしい花で、今まで気が付かな

    かったことがとてももったいなく感じました。

    もっと周りに気を配り、いろんなものを見逃

    さないようにしていきたいと思いました。

  • ゴールデンウィーク

       ゴールデンウィーク

     ゴールデンウィークは子供が小さい頃は、

    パートナーの実家と私の実家に行くことが恒

    例行事でした。移動手段は自家用車でした。

    公共交通機関では子供が退屈してしまい、か

    わいそうな気がして、それから、周りの目を

    気にして、自由にさせてあげられないので、

    移動手段はもっぱら自家用車でした。自宅か

    らパートナーの実家までは通常2時間くらい、

    混んでると4時間近くかかることもありまし

    た。自宅から私の実家へは通常4時間くらい、

    混んでると6時間くらいかかります。両方を

    往復すると結構疲れました。

     おむつの取れない時期は、移動中でもおむ

    つが変えられるように、それから、子供が横

    になれるようにと、車は車内の広いワンボッ

    クスカーでした。助手席からの移動もしやす

    いタイプだったので、結構重宝しました。

     ゴールデンウィークといえば、ゆっくり休

    むというより、長距離を運転することのスト

    レスでちょっと憂鬱でした。

     今では子供も成人して、自分の時間を大事

    にするようになったので、一緒に実家に行く

    こともなくなりました。おかげで私は好きな

    ことに時間を費やせるようになりました。寂

    しいような、嬉しいような、なんだか不思議

    な気分です。ゴールデンウィークという同じ

    言葉で表されるのに、その言葉が引き連れて

    くる感情が、生活環境と共に変化するのはと

    ても面白いです。自分でさえ、環境が変われ

    ば、言葉の持つニュアンスが変わるのに、ま

    してや他人をやです。人間関係のすれ違いは

    こんなところから起こるのでしょうか。気を

    付けます。

  • 福田平八郎展

       福田平八郎展

     先日、福田平八郎展に行きました。モネ展

    も開催されていてそちらは文字通り長蛇の列

    でした。洋画も嫌いではないのですが、作家

    によります。ビュッフェだったら並んだかも

    しれません。

     福田平八郎展はとても素敵でした。自称

    「写生狂」と言っているように、対象を緻密に

    描写されていました。まさに日本画というも

    のもあれば、モダンアートのような対象のフ

    ォルムをデフォルメしたような作品もあり、

    写実なのに抽象画のような感じのものもあり、

    不思議な世界を味わってきました。中でも竹

    の写生時のコメントが刺さりました。細かい

    ところは忘れましたが、

    「日本画で竹は緑青で描くが、写生をしてい

    て一度も竹が緑青に見えたことはない。」

    というようなものだったと思います。パート

    ナーも気に入って、何度も口にしていました。

     既成概念にとらわれず、自らの感覚を研ぎ

    澄まし、対象をとらえようとする精神力に感

    服いたしました。

     当日は「漣」がレプリカでした。そのため、

    800円割引のおかわりチケットをいただき

    ました。それで先日再度見に行きました。本

    物と思ってみているせいか、レプリカの時よ

    り線の微妙な濃淡が違うように見えました。

    比べてみているわけではないので、気のせい

    かもしれませんが、本物を見ることは作者の

    繊細な表現に触れることができるように思い

    ます。実物を目の当たりにできることは本当

    に幸せなことだと思いました。

  • 記憶の共鳴

       記憶の共鳴

     「ひらめき」とか「インスピレーション」

    とかは、突然頭の中にイメージが浮かび上が

    り、それが何かを解決するための因子になっ

    たりする事らしいです。そんな経験はないか

    ら私にはピンときません。なんのインプット

    もなく、突然アウトプットが出るのは想像で

    きません。宇宙が創造される瞬間くらい、想

    像できません。

     私はどうしたらいいかわからないときなど、

    とりあえず関係する知識を収集しまくります。

    今はインターネットで検索すれば、大概のこ

    とは出てきます。その信憑性については、周

    りの情報と私の人生経験から、峻別します。

    その峻別結果が世間一般とずれていてもあま

    り気にしません。それらがなんとなく頭の中

    にたまったままの状態にしてしばらく時間を

    置きます。それが一年だったり、数年だった

    り置くこともあります。そして、その漬け込

    んだものが突然(そう突然)何かに共鳴する

    かのように、頭の中に解決策を提示すること

    があります。それを「ひらめき」とか「イン

    スピレーション」とかいうのでしょうか。で

    も私としてはそれは、インプットしていたも

    のが、何かのインプットに共鳴して、アウト

    プットされているだけにしか思えないんです。

    時間が過ぎているのと、その時の問題と関係

    ないように思えるだけで、単純な脳内での共

    鳴反応だと思います。あえて言葉で表現する

    とすれば、「記憶の共鳴」というのが私とし

    てはしっくりきます。

  • 雨の日のテンション

       雨の日のテンション

     「雨の日は落ち着くよね。」

    そう言うと、パートナーは

    「それって普段のテンションが高いからじゃ

    ない。」

    とのこと。

    「どういうこと?」

    と問い返すと、

    「私は雨の日は何もやりたくなくなるぐらい

    テンションが下がる。」

    のだそうです。

    「へ~、そうなんだ。」

    といったものの「ピン!」ときていませんで

    した。それだけの会話ですが、一緒に生活し

    ていてもお互い知らないことがあるもんだと

    思いました。もうかれこれ結婚して30年以

    上経ちますが、それでもそうなんだと思いま

    した。ましてや他人をやです。自分と同じ感

    覚でいると錯覚して話をし、「えっ?」てなる

    ことがよくあります。当然ですね。気を付け

    ます。

  • 2024年の桜

       2024年の桜

     2024年の桜は4月に入ってから満開に

    なりました。ここ2・3年3月下旬に満開に

    なることが多かったので、遅いのかと思いま

    したが、そういえばパートナーが、

    「あなたの誕生日はいつも桜が満開でいいよ

    ね。」

    と言っていたのを思い出しました。私は4月

    9日生まれなので、

    「今年が普通なんだ。」

    と思いました。そういえば、子供のころも始

    業式が始まる頃に学校の桜並木が満開になっ

    ていたのを思い出しました。4月に入ってか

    ら桜の満開を迎えた回数のほうが多いのに、

    最近の何回かに影響されて、3月下旬に桜が

    満開になることが普通なように思いこんでし

    まうとは、我ながら情けないことです。やは

    り、自分の感覚さえ疑ってかからねば、大事

    なことを間違えてしまいそうです。気を付け

    ます。

  • 言葉とイメージ

       言葉とイメージ

     子供のころ見ていたテレビの番組で野生の

    動物たちを題材にしたものがありました。そ

    こではよく『弱肉強食』という言葉をよく耳

    にしました。強いものが弱いものを捕食する

    ことを表現していたようです。子供心に

    「サバンナではライオンが一番強いんだ。」

    と思っていました。

     ところが最近は、大型の草食動物も自衛す

    る場面を見ることもあり、さらに、ライオン

    も命を全うすれば土にかえり、植物の栄養と

    なり、草食動物の命の糧になる『食物連鎖』と

    いった言葉を聞くようになり、『弱肉強食』と

    はまったく違ったイメージを持つようになり

    ました。

     ある場面を見せられて、言葉でさらにイメ

    ージを強調されると、ついそれにのっかって

    しまうんだと思いました。さらにいまはこの

    『食物連鎖』も『持続可能な社会』みたいな言葉

    に置き換わってきているような気もします。

     『弱肉強食』で育ってきたものですから、違

    和感があります。でもよい意識変革だと思い

    ます。ちょうど『弱肉強食』という言葉が横行

    していた時代に、『火の鳥』という手塚治虫の

    漫画を読み、『循環する命』みたいなことを感

    じたことを思い出しました。『持続可能な世

    界』も『循環型世界』ともいわれるように、

    循環するイメージがあります。当時からその

    イメージがすでに有ったんだと思い驚きます。

     『弱肉強食』といわれても『食物連鎖』といわ

    れても、野生動物の生き方は変わっているよ

    うに見えません。しかし、私の見方が変わり

    ました。言葉の持つイメージが私の見方を変

    えたのだと思います。

     すぐに言葉に左右される自分を本当に馬鹿

    だと思います。そんな風に言葉にイメージを

    左右されながらも、与えられるイメージを鵜

    呑みにすることなく、物事を見据えていこう

    と思います。

  • ばね

      ばね

     人事異動の時期は、同期の方の地位があが

    るのを見るたび、地位が上がらず、給料が上

    がらず家族にもっと楽をさせてあげられない

    自分を情けなく思います。そして、かなり落

    ち込みます。私はほとんど仕事らしいことを

    していないのに、高い給料をいただいている

    ので、満足しておくべきですが、やっぱり落

    ち込みます。

     なぜかその落ち込みが深い分、その次に来

    る今やっていることへのやる気が上がる気が

    します。きっと私の場合、落ち込めば落ち込

    むほどそれが、やる気への「ばね」になるのだ

    と思います。